Past

2018/02/11

タイからラオス 旅行記



なんとなく、タイに呼ばれ、タイに来ていた。


バンコク、パタヤ、チェンマイ、パーイと移動したけど
どこか満たされず、物足りなさを感じ、ラオスへ移動した。


タイからラオスへの移動は、鉄道とバスと高速ボートとスロウボートがあったけど、
自分は特に急いでなかったので、
メコン川を3日間かけて横断するスロウボートに乗った。


















ルアンプラバンではバイクを借りて滝を見に行ったり
夜のマーケットに出歩いたりした。









バンビエンに移動しようと思って寝台バスを手配した。

「バンビエンには何もないぞ」と忠告された。

何もないのが好きなんです、と心の中で呟いた。


乗ったバスの終点は首都ビエンチャンなので
乗車している他の人皆ビエンチャン目的らしく
中間地点であるバンビエンで途中下車したのは
自分一人だった。


バスから降りてバンビエンの地に足をつけた。

その瞬間は忘れもしない。


宿が密集した中心地から外れた辺鄙な場所。
まっくらで東西南北が分からずオフライン。

深夜の3時過ぎ。
宿探しには絶望的な時間。。


バスも去って、一人取り残される。

誰も歩いていないし、街灯もない。

とりあえず立ち尽くす。

座る。

歩こう、と思うまで休む。



ちょっと間するとコツコツとヒールの音と共に
長身の女がフラフラで近づいてきた。

話しかけられ、少し話した。

パーティーで踊り疲れて散歩をしていたという。

彼女は、"メンコー"と名乗った。
部屋を用意してくれると言う。

その流れに乗った。

というかその選択肢しか、
その夜にはなかった。



一緒に中心地まで歩いた。

この辺はLADY BOYが多いと教えてくれた。

そして話をしていて気づいた事は
隣で煙草をふかすこの女も「男」という事だった。

何度か純粋にそう訊いても否定されたけど笑



彼はドラッグを買いにいきたいからついてきてほしいという。

どんなドラッグ?と聞くと彼の英語からLSDと聞きとれた。





メンコーは酔ってるのかハイなのか性格が悪いのか、
いちゃついてる白人に罵声を叫び散らしながら歩いていた。


そしてメンコーは地元の悪っこから嫌われていた。
会話は聞いてないし、ラオ語だから分からないが

遠巻きに見てる限り、

「お前には絶対、売らない!!失せろ!」
と、断られているようにしか見えないやり取りを
2~3回繰り返していた。


深夜の4時。中心地といってもまっくらで人気のない
バンビエンの道路で、走ってくるバイクを呼び止め
交渉を繰り返しては断られるオカマを見守っていた。


もう付き合えない、寝ようと思って、
部屋で休むからおやすみ、と言うと

メンコーよりもまだ女性に見える、
LADYBOY仲間の"タム"にお金を預けて、代打を頼んでいた。


メンコーは紹介してくれた宿の部屋に当たり前のように
ついてきて、ごみ箱で歯磨きをして隣で眠りについた。

イビキをきくと、ますます男だった 笑








ウトウトしていると、朝方の5時くらいに「ドン!ドン!」と
ノックが聞こえ、隣で鼾をかくメンコーを叩き起こした。

ドアをあけるとブロンド髪のタムが代打をやり遂げて
それを届けにきてくれた。




見ると、赤いタブレットだった。ん??と思ったけど
タムとメンコーはペットボトルに穴をあけ、水をドバドバ捨てて
量を調整し、アルミホイルを燃やし、紙幣を丸めて、
着々、テキパキと準備をこなし、タムはドア穴から外界を覗き、
メンコーはライターの石をいじくって火力を抑え、

「I'm Already」と言った次の瞬間には
着火していた。


バンビエンの地元LADYBOYジャンキー達の生活を垣間見た。

甘ったるいチョコレートのような匂いと
ライブハウスのスモークが混じったような
超ケミカルな匂いが部屋に充満した。



メンコーは「HAPPY SMOKE!」と言って
ルンルンになって踊っていた。







うまれてはじめて歯軋りがとまらなくなった。

顔に力がはいってどうしようもないのでなにかを噛まずにはいられなかった。

寝れずに毛布をずっと噛んでいた。

埒があかないので、自分の手なら噛むと痛いからやめるかな、とおもって
自分の手を口に突っ込んだ。

でも止まらなかった。

そしてそのままの状態で一睡もできずに次の日のお昼の
12時頃になっていた。



隣にはメンコーが裸でいびきをかいている。

タムはすぐに居なくなっていた。






メンコーが起きて川へ行こうと言う。

身体が石のように動かなったので
メンコーのバイクに乗る。





メンコーが昨日よりももっと良いのを買いにいくという。
買いに行く途中、メンコーの実家に寄った。


メンコーの両親やご家族にバイクのうしろに跨ったまま
挨拶をした。


メンコーの家族は、僕に向かって、神妙に会釈をしてくれた。

この母親は、この息子の事を、そして自分のことを
どうおもっているのだろうと思った。笑


シュールな昼下がりだった。







川へ着いて寝ころんだ、草むらにスピーカーがあり、
重たいアンビエントがなっていたので

余計に身体が沈んで動けなかった。
深い沼に浸かっている感覚だった。



たくさんのカップルや旅行者が自分達2人の事を
2度見しては、なにか言っている。

ぱっと見、男女のカップルに見えるけど、
よく見ると片方が長身の男なのだ。


脳みそがぼんやりの状態で本当よかったと思う。








昼過ぎにきて日没までの6時間くらいを

ほぼ会話もせず、体勢も変えずに川を眺めていた。






部屋に帰る。メンコーはひたすら摂取している。



一人になりたい、一人にしてくれ、とメンコーを追い出した。


僕はもうこれ以上メンコーとは会いたくなかったので
(自分の中で)最後の別れの体でお礼を言って
握手をして丁寧に見送った。

数時間後にまたこの部屋に戻ってくるつもりのメンコーは
なに改まっちゃってんの?てかんじで素っ気なく出て行った。


ずっとメンコーと居たので久々に独りになれた。





数時間後にはSAKURA BARでお酒を飲んでご機嫌なメンコーが
新たにドラッグを持って、僕の体を触りながらベッドに忍び込んでくる。


このままでは此処バンビエンで、
ある意味「沈没」してしまう。



自分から引き寄せてしまったこの旅の流れに、
きちんと終止符をうたなくてはとおもい、
冷静に「夜逃げ」を思い立った。







とりあえず、食べたくないけど、なにか食べなくてはと思い、
夜のバンビエンを歩いた。





町を歩いてる途中、何度も、色黒・長身・長髪・サングラスの
メンコーっぽいシルエットが見える度に
顔を伏せたり、路地や暗がりに身を潜めた。

こうしている今にも部屋に彼が戻ってきてるかもしれないのだ。


適当なお店に入り、ヌードルをたのんで無理やり食べた。

箸が重たかったし、味もしなかった。




どこからか聞こえてくる「シャーー」という不快な機械音が
斜め上のプロジェクターから映し出された白黒映画の音声なのか、
自分の脳内のみで轟いているエフェクトなのか
区別がつかず、頭がずっしりと重かった。






帰りしなに、怪しいおばさんの手招きに吸い寄せられ
ベーコンビーフチーズバーガーというのを買ったら、
チキンもサービスしといたから、と袋を手渡された。

袋を見るとバナナが2本入っていた。よくわからなかった。笑



体をも元に戻すために、コンビニで「緑茶」と
日本語の漢字で書かれたドリンクを買ったら、
砂糖がたくさん入ったアイスティーだった。



部屋に帰り、ベッドに座り、万が一、メンコーがきても
寝てる間や、ふとした隙に5秒で逃げれるように荷物をまとめた。







さっきもらったバナナを食べようと一口齧ると、
いまバナナを食べようとしていた事を忘れて30分くらい
経っていた。

もう一口齧ってはまた忘れてバナナを持ったまま
石のように壁を眺めて更に20分といった具合。

1時間以上をかけて1本目のバナナを完食して
2本目のバナナに手をかけようとしたとき、

部屋の壁にたくさんのヤモリかトカゲがいることに気がついた。

この部屋にきたときからの光景なので特に気には
してなかったけど、異常に数が蔓延している。

嫌だなーと思いトカゲかヤモリを眺めていると、
その壁沿いの椅子の上においてあるバックパックの口が
開いているのに気が付いた。

もう手遅れと思いきや、バックパックを
ひっくり返し中身を出した。

勇気を出して手を突っ込んで、
トカゲを探したけど1匹も手に触れた感じがしなかった。

無事でラッキーとそのときは
思っていたけど

そもそも、最初から壁に一匹もトカゲもヤモリも
居なかった。

ただの幻覚だった。笑